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人材不足に直面する物流業界で、企業と求職者をつなぐ人材派遣会社の取り組み
~株式会社アサインメントバンク(愛知県名古屋市)

黒部川水系の安全を支え、ICTと働き方改革でDXを推進

本日は、物流業界を主に登録制の人材派遣業を展開する、株式会社アサインメントバンク 代表取締役の長谷川佳弘様と、総務担当の高木光尋様にお話を伺いました。

目次

  1. プロフィール
  2. 多様化する働き方に対応
  3. 深刻化する人手不足を解消するために
  4. 継続的な採用難を乗り切る
  5. 年々上がる求職者側の要求のハードル
  6. 企業における人件費削減のカギは設備投資
  7. 物流2024年問題は業界全体で解決
  8. 誠実に向き合う姿勢が信用を勝ち取る
  9. コンプライアンス重視の安全衛生を徹底
  10. 長期的な有効求人倍率増加に期待
  11. 業務拡大で社会貢献を目指す
  12. インタビューを終えて

プロフィール

株式会社アサインメントバンク

愛知県名古屋市に本社を置く人材派遣会社、株式会社アサインメントバンク様は、さまざまなニーズに応える登録制の労働者派遣事業を展開。2014年に設立後、主に物流業界への人材派遣会社として発展し、延べ人数80,000名のスタッフを派遣しています(※2020年1月時点)。近年、労働人口の減少に伴う人材不足問題に直面する中で、多様な働き方に対応するマッチングサポートで企業と求職者をつないでいる会社です。

株式会社アサインメントバンク

【本社】愛知県名古屋市中区錦一丁目13-19

https://www.asbank.co.jp/ 公式X

(左)総務担当 高木光尋 様、(右)代表取締役 長谷川佳弘 様
(左)総務担当 高木光尋 様、(右)代表取締役 長谷川佳弘 様

多様化する働き方に対応

本日はよろしくお願いします。
はじめに会社概要と現在の事業内容、お客様について教えてください。

長谷川設立は2014年の6月、本社は名古屋市中村区にあり、従業員数は私を含めて5名です。業務内容は人材派遣と人材紹介、アウトソーシングも手掛けております。コロナ禍前は毎月100人程度を派遣していました。業種は製造、物流が多く、お客様の比率を見ると全体の6割が製造業で4割が物流業です。

代表取締役 長谷川佳弘 様

人材派遣業について教えてください。

高木ひと昔前であれば正社員になるのが当たり前の雇用形態でしたが、今は働き方が多様化し、求職者が自分の希望に合わせて雇用形態を選ぶ時代になりました。例えば「自分の時間を大事にしたい。でも収入が欲しい」と考えた時に、正社員で働くには色々と拘束条件が多く厳しいのです。そういう方たちが選択肢として選ぶことができるのが派遣社員で、時代の流れで人材派遣市場が大きくなってきた側面もあります。 端的に言えば人材派遣はマッチングです。求職者の希望と派遣先の雇用条件や希望、双方がウィンウィンになるように仲介してマッチングさせるのが、私ども人材派遣の業態になります。

総務担当 高木光尋 様

深刻化する人手不足を解消するために

製造・物流業界のお客様が多いと聞きましたが、お客様の課題について詳しく教えてください。

長谷川日々私どもが接しているお客様の課題は、常に人手が足りないということです。しかし、市場に人が全くいないわけではありません。「人件費が出ないから人が採用できない。人手が足りないから売り上げが上がらない。売り上げが上がらないから人件費を出せない。結果採用に繋がらない」という悪循環になっています。さらに世の中が不況になり、物価高、原料高も続いています。これにより企業の利益も大幅に下がっています。そのしわ寄せが人の部分に来ていると考えられます。さらに、日本は外国とは異なり人を雇ったら簡単に辞めさせられない風習がいまだに残っており、採用に関してもおよび腰になるところがあります。 そのような背景から、私どもがお役に立てる部分が非常に多いと思っています。ただし、どうしても派遣のほうが直接雇用よりもコストが高くなることもあり、お客様もそのコストが用意できずマッチングに至らないケースもあります。 少子高齢化の影響でお客様側の年齢層もどんどん上がっています。私どもが派遣させて頂くスタッフの年齢層も上がったままで下がりません。製造・物流業界の仕事は一度教えれば明日から直ぐにできるものではありません。このまま10年、20年と経ったときに、人出不足で技術の継承ができていないということが起こりうるのが、お客様の最大の課題だと思います。

継続的な採用難を乗り切る

新型コロナ感染拡大前後の求人・求職について動きの変化はいかがでしょうか。

長谷川コロナ禍に入って以降は人が動いていません。我々は求人広告を掲載し人を募集して、お客様にご紹介するというのがビジネスモデルです。コロナ禍前とコロナ禍後で同じだけ広告を出稿しても、応募者数が全く伸びず採用難が続いています。今までこの募集で来ていた人たちはどこに行ったのかと思う時もあります。補助金などが無くなってきて潮目が変わるかと思えば、実際にはそのような動きも無いのでよく分からない状況です。とはいえ指をくわえて見ているわけにはいきませんので、いろいろな施策を考え、とにかくこの採用難を乗り切るしかないと思っています。

年々上がる求職者側の要求のハードル

コロナ禍を経て、求職者様側はどのような変化がありましたでしょうか?

高木現在は求職者側にも情報が溢れかえっています。もはや「働くイコール正社員」という概念が崩れているので、求職者側にも「派遣で働く以上、ある程度自分の希望を受け入れてくれた上で仕事を紹介してくれる」という考えが頭にあります。例えば「働く時間はこの時間」「この曜日は絶対休む」「時給はこれだけ欲しい」「この業務以外はやりたくない」など、とにかく求職者の要望も年々細分化されハードルがどんどん上がっています。これによってマッチングも難しくなってきています。「なんでもいいので働きます」といってくださる方であれば、それだけハードルは下がるのですが、そのようなケースはまれです。そこが一番の変化だと思います。

企業における人件費削減のカギは設備投資

設備

お客様(企業)の課題に対する取り組みはいかがでしょうか。

長谷川企業も固定費を減らす目的で設備にお金を使うところは出てきています。例えば、監視カメラを使って、現場での監視作業の人間を減らした会社もあります。そのような監視する設備を充実させて、今まで人に頼っていた部分を自動化させることによって人件費を抑えることが出来るとともに、ヒューマンエラーによるトラブルなどの回避の動きもあるのだと思います。採用面と安全衛生面の両面から見ても、やはり設備投資が重要なカギだと思います。

物流2024年問題は業界全体で解決

トラクター

物流業界の2024年問題に関連して、残業規制や働き方についてお客様から声があがっていたりするのでしょうか。

高木2024年問題は物流業界全体の課題なので、各企業でも色々と検討はされているようです。ただこればかりは正直物流会社のみでどうにかなる問題ではありません。荷主や届け先、物流に係わる先が全てうまくコントロールをしながら進めていくしかないのではないでしょうか。現状では無理なタイムスケジュールで動かしていることも多いと思います。そのタイムスケジュールをしっかりと管理した上で見直しをして残業時間をコントロールしていくしか方法はないと思います。自動運転などの技術がもっと進んでいれば、トラックドライバーは必要なくなるのかもしれせんが、今はまだそこまで技術も設備も進んでいませんので、結局は人が携わるしかありません。そうなるとやはり物流会社だけの努力ではなく、業界全体で考えて対応していく必要があると思います。

誠実に向き合う姿勢が信用を勝ち取る

お客様(企業)からのご要望にどのように応対されていますか。

長谷川「こういった人材をこれぐらいの費用感で欲しい」という要望はあります。しかしそのお客様の予算では、お客様が望むような人材を集めるのが難しい思われる場合もあります。そのような要望に対して私どもは、できないことをできると言ってしまうのではなく、誠実に接するようにしています。まず予算を上げることができなければ、お客様の要望に応えることは難しいとお伝えした上で、それでも良ければ取り組ませて頂くという対応です。やはり、最初から安請け合いしてしまって、結果お客様が望む人材をお連れできなければ、私どもに対する評価も下がってしまいますし、お客様にとってもマイナスになります。であれば最初から「これぐらい予算を頂ければこれぐらいの人はお連れできると思います」とお伝えした上で、その約束を守り要望通りの人をお連れすることで、我々のことも評価もして頂けますし、またお客様にとっても結果が良くなるはずです。最終的にはお客様の人に関するあらゆる悩みの解決策を提案するということが、我々の提供できるサービスだと思っています。

コンプライアンス重視の安全衛生を徹底

作業する人

派遣先での安全衛生についてはどのように取り組まれていますか?

高木ひと昔前に比べると企業の安全衛生面に対する意識は圧倒的に上がってきています。例えばカメラを設置することで、人がどのような動きをしているのか、もし安全衛生管理上のトラブルが起きた場合にその前後でどのようなうことをしてそのトラブルが起きたのか、などをしっかりと洗い直すといったような業務改善に繋がっています。ひと昔前にあった労災隠しのような案件も今は一切なく、コンプライアンスを重視してしっかりと対応されている企業がほとんどです。もちろん私ども各営業担当が定期的にお客様の現場を回らせて頂いて、安全衛生面もしっかりと確認した上でご担当者様と密にお話しをさせて頂いています。これにより私どもの派遣スタッフの安全はもちろん、お客様側従業員の皆様の安全をしっかりと管理をするという、双方で足並みを揃えタッグを組んで安全衛生対策を行っています。

求職者様に企業の安全衛生についてはどのように伝えているのでしょうか。

高木お仕事に入られる前に必ず職場見学に一度行って頂いて、職場の業務の内容をご説明すると同時に、この業務ではこういうトラブルが起きやすいということもしっかりと話をさせて頂きます。その上で初日の入職立ち会いの際にも再度業務に関しての注意事項など、安全衛生教育の徹底をしています。

長期的有効求人倍率増加に期待

全国的に求人・求職及び求人倍率をみるとリーマンショック前後とコロナ禍前後で大きな変化が見られます。御社から見た人手不足の現状はどのように感じられますか。

一般職業紹介状況
出典:一般職業紹介状況(令和4年11月分)について | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29922.html

長谷川長期的にいえば人口が減ってきているので有効な求職者数の絶対数は減っていくと思っています。外国人の雇用をどうするという話はもちろんあると思います。ただ、この図を見るとリーマンショックから右肩上がりで有効求人倍率が伸びていて、コロナショックで落ちていることが分かります。実は伸び率だけ見ればそれほどコロナ禍前と変わっていないので、ある程度のところまでは伸びていくのではないかなと思っています。現状では10年前までの水準には落ちてないので、また上がってくるのではないでしょうか。日本という国がこのまま沈んでいくとは思えないので、また少なくともコロナ禍前ぐらいまでは戻すのではないかという希望的観測を持っています。

業務拡大で社会貢献を目指す

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

長谷川私どもが行っている人と仕事のマッチングサービスは、非常に社会的意義があると思っています。私もこの仕事をして初めて知りましたが、派遣で働きたい方は一定数以上いますし、お客様の中にも派遣に対するニーズも非常に強いものがあります。そこの仲立ちをする仕事はやりがいもあります。今はまだ名古屋にしか拠点がありませんが、今後は東京、大阪、福岡と各地に進出し、私どものこの仕事に対する思いを、日本全国に広げていければと思っています。そうすることによって私どもの会社で働いて下さる人も豊かになります。またお客様も豊かになれます。そして最終的には日本全体が豊かになります。このように皆が豊かになる社会を目指し、社会貢献として仕事の幅を広げていきたいと思っています。

ありがとうございました。

インタビューを終えて

(左)代表取締役 長谷川佳弘 様、(右)総務担当 高木光尋 様

“日本の物流ハブ”とも呼ばれる愛知県で、人材派遣という事業を通じて製造・物流業の発展に貢献しているアサインメントバンク様。
求職者はニーズの細分化・複雑化が進み条件にあった求人を探すことが難しく、企業は人材不足という大きな課題に直面している中、それぞれの課題を解決するための人材マッチングサービスが如何に重要であるか、人材派遣事業の社会的意義は想像以上に大きいものでした。

●記載の法人・団体名・組織名・所属・肩書などは、全て取材時点のものです。

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