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2024年問題とは?物流業界への影響や解決すべき課題と対策を解説

2024年問題の影響・課題と対策について

物流業界において、2024年問題は大きな課題です。特に、トラックドライバーに対する労働時間上限の制限は、荷主企業や一般消費者に影響する問題でもあります。2024年問題は業界全体で取り組み、課題解決を急がなければなりません。本記事では、2024年問題の概要やその原因を再確認しながら、物流業界への主な影響や課題と、その対策についてわかりやすく解説します。

目次

  1. 1 - 物流業界の2024年問題とは
  2. 2 - 2024年問題の原因
  3. 3 - 2024年問題の物流業界への主な影響と課題
  4. トラックドライバー不足が深刻化する
  5. トラックドライバーの収入が減少する
  6. 輸送リソースの減少
  7. 荷主企業や一般消費者へも影響する
  8. 4 - 2024年問題の課題に向けた対策
  9. 荷主企業や消費者への理解促進
  10. モーダルシフトによる輸送代替
  11. 共同配送による物流コスト削減
  12. DXによる業務効率化
  13. 5 - 2024年問題への対策にはDXによる業務効率化が必須!

1 - 物流業界の2024年問題とは

2024年問題とは、トラックドライバーの働き方改革に関連する法律が適用され、物流産業の職場改善がなされる一方で、時間外労働の上限が規制されることによって生じる影響や問題の総称を指します。
トラックドライバーの労働時間は、長距離運転などで長時間労働が慢性化しています。このような労働環境を改善する目的もあり、働き方改革関連法によって労働時間の制限が設けられます。
しかし、トラックドライバーの労働時間が制限されるということは、輸送能力が低下するということです。令和5年6月に内閣官房が公表した「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」の資料によると、2024年問題に対して対策を講じない場合、2024年度には14%、2030年には34%もの輸送力不足が発生する可能性があります。物流や荷主企業、一般消費者にも大きく影響する問題として注視されているのです。
施策としては、商慣行の見直しや物流の効率化、荷主・消費者の行動変容についての策定が必要です。たとえば、物流の効率化における物流DXの推進では、自動運転やドローン物流、自動配送ロボットの活用や港湾AIターミナルなど、IT・ICTシステムの導入が考えられます。
これらの課題や施策は、内閣官房および国土交通省が決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」にまとめられていますので、あわせてご覧ください。

2 - 2024年問題の原因

2024年問題の原因

2024年問題の原因は、2024年4月1日から施行される働き方改革関連法の中で、自動車運転業務の時間外労働時間の上限が年間960時間に制限されることにあります。
トラックドライバーの人材不足やEC市場の成長による小口輸送の増加もあり、長時間労働が常態化しています。働き方改革関連法では、このような労働環境を改善するために、年間時間外労働時間の上限を設定しました。
労働時間の上限規制で、トラックドライバーの労働環境が改善されます。しかし、実際にはトラックドライバーの収入減少問題や荷物の輸送量減少問題など、多くの影響が考えられます。

3 - 2024年問題の物流業界への主な影響と課題

2024年問題は、物流業界に大きな影響と課題をもたらします。また、その影響は荷主企業や一般消費者にも広がります。ここでは、一般的に考えられる2024年問題の影響をみていきます。

トラックドライバー不足が深刻化する

トラックドライバーは、2006年以降減少を続けています。ここに2024年問題の労働時間制限や収入の減少が起こることで、さらにトラックドライバーが減る可能性があるのです。
具体的な推移としては、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足になることが懸念されています。
トラックドライバーの収入が少ないことがわかっている場合、新たな人材確保も難しいでしょう。人材確保ができるような賃金形態などの見直しも大きな課題の一つです。

トラックドライバーの収入が減少する

時間外労働時間が制限され、全体的な労働時間が減るということは、トラックドライバーの収入が減少する可能性があるということです。
たとえば、長距離輸送による長時間労働によって時間外労働手当などを得ていたトラックドライバーは、手当が見込めなくなります。
労働時間の改善がなされる一方、減少するトラックドライバーの収入をどのように補うかが大きな課題です。

輸送リソースの減少

トラックドライバーの労働時間制限で、長距離輸送を含む輸送時間が減少します。つまり、輸送するためのトラックが動かせなくなり、リソース不足が起こる可能性があるということです。
トラックドライバーの労働時間が上限に達したことにより輸送が不可能になれば、物流が止まってしまいます。これらを、どのように解決するかといった課題は非常に大きなものです。

荷主企業や一般消費者へも影響する

輸送リソースが減少すれば、運べるものが減り、運送会社の利益が減少するため、荷主は運賃を上昇せざるを得ない状況になります。
また、「物流改革に向けた政策パッケージ」では、運賃や料金が消費者向けの送料に適正に転嫁され反映されるべきという観点から「送料無料」の表示の規制を荷主に課す可能性も出てきています。
これらの影響が商品価格上昇につながれば、消費者の負担も増えてしまいます。このような状態になることを、荷主企業や一般消費者に理解してもらうことも大きな課題の一つです。また、対策も講じなければなりません。

4 - 2024年問題の課題に向けた対策

2024年問題の課題に向けた対策

物流業界は2024年問題の課題に向けて、どのような対策をしたらよいのでしょうか。取り組んでおきたい対策についてみていきましょう。

荷主企業や消費者への理解促進

トラックドライバーの労働時間の上限規制によって運搬できる荷物の量が少なくなると、荷主企業や一般消費者が、欲しいときに欲しい商品を受け取ることができなくなるかもしれません。
2024年問題に対する取り組みを行っても、カバーできないケースが出てくる可能性もあります。そのため、荷主企業や消費者に対して、2024年問題への理解を促進することも重要な対策です。
たとえば消費者に対しては、急いで受け取る必要のない荷物は、消費者自身が余裕を持った配送日時の指定をするよう心がけるなどの意識改革が必要です。

物流業務改善について、詳しくはこちらをご覧ください。
物流倉庫業務の改善方法とは?課題把握と改善ポイントについて解説!

モーダルシフトによる輸送代替

トラックをはじめとした自動車での貨物輸送を鉄道や船舶輸送へ転換することをモーダルシフトといいます。
貨物輸送で発生する環境負荷を小さくするための取り組みとして近年注目されているモーダルシフトですが、トラックドライバー不足解消にも繋がることが期待されています。
倉庫間や集配拠点間の輸送などの幹線輸送では長距離を運転するため、出発した場所に戻るまで数日かかることもあります。しかし、モーダルシフトは拠点間を細分化し、拠点間の輸送を鉄道などの輸送手段にするため、トラックの移動距離を短縮することができます。
また、大規模な輸送の際などはトラックより積載量の大きい鉄道や船舶で輸送することでコストの削減につながります。

共同配送による物流コスト削減

共同配送は、配送先が同じ複数の企業が一つのトラックに荷物をまとめて積載、配送する取り組みです。
通常は荷物をすべて自社で輸送しますが、輸送業務を共同で行うことでトラックの積載効率が高くなり、物流コスト削減が期待できます。
また、メリットがあるのは荷主企業だけではありません。配送先では荷物をまとめて一度に受け取れるため、荷受け作業の効率化につながります。
国土交通省はモーダルシフトや共同配送の取り組みを推奨しており、支援や制度を整備していくことを公表しています。

DXによる業務効率化

トラックドライバーの労働時間減少に対応するためには、輸配送の効率化が欠かせません。トラックの待機時間を削減するために配車や配送管理をシステム化するなど、DX化が必要です。
たとえば、物流センターなどでの車両入退記録を自動化してコントロールし、長時間滞留の荷待ちをなくすといった施策が考えられます。
トラックドライバーや運送会社が事前に、荷物の積み下ろしの際にトラックを停車させるバースを予約できるようトラック予約受付システムなどを導入し、トラックバースの受付や管理の作業を効率化します。これにより、待ち時間が短縮されたり、トラックドライバーの業務負担を軽減することが可能になります。
また、自動搬送機(AGV)を導入して搬送車による倉庫内の荷物搬送を無人化したり、コンピューター管理された自動倉庫で、荷物運びや保管・仕分けを自動化したりするなど、各所をシステム化するなどの対策も有効です。

物流施設における車両入退場管理による業務の省力化については、こちらもあわせてご覧ください。
車両ナンバー認証システム

5 - 2024年問題への対策にはDXによる業務効率化が必須!

2024年問題は、物流業界や荷主企業、一般消費者にも大きく影響する問題です。物流業界としては、システム化による業務効率化やトラックの効率的な運用、労働条件や環境の見直しから人材確保などの対策が求められます。物流業界として行える主な取り組みは、さまざまな業務を効率化するためのDXです。
当社では、トラックの入構チェックを自動化する「車両ナンバー認証システム」など、物流業務の効率化に関わるシステムやサービスを提供しています。物流施設やトラックドライバーの業務効率化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。


編集:株式会社JVCケンウッド・公共産業システム マーケティング担当(2023年11月16日)

<参考資料・出典>
内閣官房『「物流革新に向けた政策パッケージ」のポイント』

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