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無人店舗システムとは?無人店舗ビジネスのメリット・デメリットと防犯対策

無人店舗システムとは

コンビニエンスストアや書店などの小売業を中心に、私たちの生活に少しずつ浸透してきている「無人店舗」。店頭に接客スタッフ等を配置せず、商品購入まで完結できるようにした店舗形態です。
昨今、労働者人口の減少や非接触型の接客に対するニーズの増加を背景として需要が高まっています。
本記事では、無人店舗について、構成する設備や必要な防犯対策、メリットやデメリットなどについて詳しく解説します。

目次

  1. 1 - 無人店舗の種類とその特徴
  2. 2 - 無人店舗を構成する設備
  3. 3 - 無人店舗の需要が高まっている社会背景
  4. 4 - 無人店舗ビジネスの市場規模
  5. 5 - 無人店舗システムを導入するメリット
  6. 人員不足の解消と、人件費の削減
  7. 顧客の接客体験を平準化
  8. 顧客データを収集したマーケティング活用
  9. キャッシュレス決済や映像セキュリティによる防犯性の向上
  10. 6 - 無人店舗ビジネスが抱える課題とデメリット
  11. 設備の初期投資が必要
  12. 顧客層を狭めてしまう可能性
  13. システムダウンなどイレギュラー時の体制づくり
  14. 防犯セキュリティを強固にする必要性
  15. 7 - 無人店舗の具体的な防犯対策
  16. クラウド型映像セキュリティサービスのご紹介
  17. 8 - 無人店舗ビジネスと相性が良い業態と国内事例
  18. 9 - まとめ

1 - 無人店舗の種類とその特徴

無人店舗の種類とその特徴

無人店舗とは、さまざまなデジタル技術を組み合わせることで、店頭に接客スタッフなどの人員を配置しない店舗です。店頭は無人になりますが、多くの店舗では商品の補充などのためバックヤードにスタッフを配置しています。また、セキュリティの観点から、定期的にスタッフが店舗を巡回しているケースもあります。
無人店舗は、大きく「セルフレジ店舗」と「レジ無しウォークスルー店舗」の2種類に分けられます。
「セルフレジ店舗」とは、購入者自身がレジを操作して清算を行うというもので、国内でもコンビニエンスストアやスーパー、書店、ドラッグストアなどで導入されています。
一方、「レジ無しウォークスルー店舗」はレジが店頭に設置されておらず、商品を取って退店すると自動で決済されるというものです。入店時に購入者を認証し、店内に設置されたカメラやセンサー等が商品を解析して、事前に登録されている決済情報をもとに支払いが行われます。

2 - 無人店舗を構成する設備

無人店舗は、有人店舗と比べて店舗運営に必要な人材を抑えられます。ただし、無人化を実現するためには、以下のようにさまざまな設備やシステムが必要になります。

認証機能 ・QRコードによる認証システム
・バイオメトリクス(生体)認証システム
・モバイル端末による認証システム
防犯機能 ・監視カメラシステム
接客機能 ・遠隔顧客対応システム
在庫管理機能 ・デジタル在庫管理(棚卸)システム
決済機能 ・モバイル端末によるレジシステム
・セルフレジシステム
・ウォークスルー決済システム
分析機能 ・データ解析システム

3 - 無人店舗の需要が高まっている社会背景

無人店舗は、新型コロナウイルス感染症の影響から、非接触型の接客ニーズを叶える店舗形態として急速に需要が高まりました。
また、少子化高齢化に伴う労働人口の減少、あるいは都市部への人口流出などが原因となり、労働力不足に課題を抱える企業は少なくありません。
そのためコロナ禍以降においても、慢性的な労働力不足を解消する一環として、引き続き需要が高まっています。
IoTやAI技術によって運営の効率化を図るソリューションが市場に増えていることも、一つの要因と言えます。さらに、顧客の購買情報を取得し、その後の販売戦略に活かすデータドリブンな店舗運営の必要性も高まっており、無人店舗の需要拡大を後押ししています。

4 - 無人店舗ビジネスの市場規模

AI技術などの進化により誕生した無人店舗ビジネスは、効率と便益が向上することから市場の拡大が期待されています。
コロナ禍を経て、製品・サービスやソリューションが接触タイプから非接触タイプに置き換わることを想定し、各分野の市場規模を算出した日経BPのレポートによると、日本における無人店舗・無人決済店舗型(非接触ショッピングソリューション)の市場規模は2023年時点で約1,200億円、市場の成長性としては約2兆円規模まで広がるポテンシャルがあると試算されています。
技術の進化、そしてニーズの変化と共に、無人店舗ビジネスの市場規模は今後さらに拡大することが予想されます。

5 - 無人店舗システムを導入するメリット

無人店舗システムを導入するメリット

無人店舗システムの導入には、以下のようなメリットが期待できます。

人員不足の解消と、人件費の削減

無人店舗では接客スタッフ等の配置が不要になるため、従来と比べて少人数での店舗運営が可能です。新店舗を立ち上げる際にも、採用や人的コスト面でハードルが下がります。

顧客の接客体験を平準化

人による接客では、どうしても各個人で接客スキルに差が生じてしまい、接客担当者によって顧客に与える印象が異なります。場合により、対応への不満からクレームを受けたり、顧客が離れたりすることも考えられます。
しかし、無人店舗システムを導入すれば顧客の接客体験を平準化できるため、接客に関わるクレーム等のトラブルが起こりにくくなります。

顧客データを収集したマーケティング活用

無人店舗システムは、店頭における購買までの行動など、顧客データの収集が可能です。
この顧客データをマーケティングに活用すれば、店頭における陳列やレイアウトの改善、あるいは広告アプローチの最適化などに役立ちます。

キャッシュレス決済や映像セキュリティによる防犯性の向上

店頭に現金を置かないキャッシュレス決済によって、盗難などのリスクが低くなります。
また、強固な映像セキュリティシステムを導入すれば、防犯性の向上も期待できます。顧客は安心して購買が行えるため、満足度の向上にも繋がります。

6 - 無人店舗ビジネスが抱える課題とデメリット

無人店舗ビジネスには多くのメリットがある一方、以下のような課題やデメリットもあります。

設備の初期投資が必要

無人店舗にはさまざまな設備やシステムが必要です。人的コストを削減できる一方、設備の初期投資が有人店舗よりも高額になります。
また、設備によってはランニングコストも発生する可能性があるため、あらかじめ念頭に置く必要があります。

顧客層を狭めてしまう可能性

誰もいない店舗に入る、あるいは現金を用いず商品を購入することに、心理的・技術的なハードルを感じる消費者は少なくありません。
例えば電子決済が一般的に広まったとはいえ、現金での支払いを好む層も一定数存在します。そのような消費者を取りこぼしてしまうなど、顧客層の狭まる可能性がある点には注意が必要です。
無人店舗にすべきか否かの判断には、中心となる顧客層を踏まえての検討が求められます。

システムダウンなどイレギュラー時の体制づくり

無人店舗では、システムがダウンするなどのイレギュラーなトラブルが起きた際の迅速な対応が必要です。
例えば、人員配置や外部企業との連携といった準備体制を整えておくことです。迅速に対応できないとクレーム等に繋がるほか、結果として顧客離れの原因となってしまいます。

防犯セキュリティを強固にする必要性

店舗スタッフがいないからこそ、時間外の侵入や万引きなどにも注意が必要です。そうした不安要素を軽減するためには、防犯面の強化が求められます。また、運営面だけでなく顧客が安心して店舗を訪れるためにも、強固な防犯セキュリティは欠かせません。
起こりうるリスクを事前に洗い出し、十分なセキュリティ対策を講じる必要があります。

7 - 無人店舗の具体的な防犯対策

無人店舗の具体的な防犯対策

無人店舗の防犯対策として、一般的に以下のようなものが挙げられます。

万引き対策
・監視カメラの設置
・商品棚への重量センサーの設置 など
破損対策
・退店時の映像とともに異常ログを管理者へ送信する機能
・異常通知に合わせてセキュリティ会社に駆け付けてもらう など
情報漏えい対策
・顔認証データを特徴量データ(画像ではなく「数値データ」)として保持し、そのうえで暗号化する
・クレジットカード情報を直接管理するのではなく、決済代行会社で保持する など
不正侵入対策
・長時間滞在者や閉店後の不正侵入者をAIで検知してサイネージで警告する など

クラウド型映像セキュリティサービスのご紹介

クラウド型映像セキュリティサービスのご紹介

クラウド型映像セキュリティサービス「Jchaser」は、監視カメラとクラウドを使用した映像セキュリティシステムです。
クラウドプラットフォームのため、離れた場所にある店舗のカメラ映像をパソコンやモバイル端末から確認、多くの店舗がある場合でもまとめて管理でき、無人施設における迷惑行為や万引きなどの確認に活用できます。
また、専用のレコーダーやメンテナンスが不要で、コストを抑えて省スペース・スピーディーにサービスの導入が可能です。
さらに、監視カメラ画像から顔検出・顔検索する機能を有し、要注意人物を登録してリアルタイムでアラート通知するなど、セキュリティ強化も期待できます。
映像や登録情報はセキュアなクラウド上で管理されるため、情報セキュリティ面でも優れています。

8 - 無人店舗ビジネスと相性が良い業態と国内事例

無人店舗はこれまで、主に以下のような小売業を中心として導入が進んできました。
・コンビニエンスストア
・ドラッグストア
・ディスカウントストア など
しかし、昨今はホテルやコインランドリー、カラオケ、ネットカフェなどでも、無人店舗の導入が広がっています。具体的な事例に挙げられるのが、以下のようなものです。

無人書店
スマートフォンアプリで店頭にあるQRコードを読み込むと会員証が発行でき、そこに表示されるQRコードをリーダーにかざします。自動でドアが開くので入店し、セルフレジで決済して退店できる完全無人型の書店です。
ネットの普及により書籍の売れ行きが落ち込み、書店経営は採算のバランスを取るのが難しくなっています。無人店舗であれば人件費を大幅に削減できるため、持続可能な書店経営につながります。
無人フィットネスジム
スマートフォンの会員専用アプリを用いて入退店でき、24時間利用が可能です。
アプリではトレーニングメニューを動画で確認したり、必要な栄養を自動管理したりすることもできます。セキュリティ会社と契約することで、完全無人運営ながら安全性にも配慮されたフィットネスジムです。
無人コワーキングスペース
コワーキングスペースは、インターネットやプリンタなどの設備が整った、仕事のための共有スペースです。リモートワークをする方やフリーランスの間で利用が広がっています。
ランニングコストの大部分が人件費となるため、無人化によるメリットが大きい業種といえます。無人店舗ではアプリや交通系ICカードなどで入退室や決済が行えるようになっています。
無人セルフ美容サロン
脱毛などの施術を行う美容サロンでも、施術者のいない、セルフ形式のサロンが出てきています。セルフ美容サロンでは、さまざまな美容機器を利用者が自分で操作して施術します。
無人化することで、運営側としては人件費を削減しながら店舗を24時間稼働させることができ、利用者側としては過剰なセールスを受ける懸念なく低価格で施術できます。施設の予約、入退室はスマートフォンで行えます。

9 - まとめ

小売業をはじめ、さまざまな業態で導入が広がっている、無人店舗について解説しました。現代社会における労働人口の減少という課題は、小売業のみならず多様な業種に及んでいます。そのため、無人店舗は近い将来、飲食サービス業や生活関連サービス業、教育・学習支援業、さらには医療・福祉業などにも展開していくことでしょう。
無人店舗には人材不足などの課題解決や接客の平準化のほか、システムで収集したデータをマーケティングに活用できるといったメリットがあります。
一方、システムや設備には初期投資が必要となり、イレギュラー対応や強固なセキュリティなどの対策も欠かせません。
特に無人だからこそ、十分な防犯対策が求められます。安心して店舗を運営すること、そして、顧客が安心して利用できるような環境づくりが重要です。


編集:株式会社JVCケンウッド・公共産業システム マーケティング担当(2024年3月19日)

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