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黒部川水系の安全を支え、ICTと働き方改革でDXを推進する“黒部川の防人”~大高建設株式会社(富山県黒部市)

黒部川水系の安全を支え、ICTと働き方改革でDXを推進

本日は、富山県に本社を置き、ICTと働き方改革でDXを推進する建設業、大高建設株式会社 代表取締役社長の大橋聡司様と、総務部 係長代理DX・広報担当の山本健太郎様にお話を伺いました。

目次

  1. プロフィール
  2. 創業時より黒部の電源開発
  3. 暴れ川の引き起こす災害を防止
  4. 徹底したリスクの事前察知
  5. 難工事を可能にする特殊技術
  6. ICTを安全管理指導に活用
  7. 労働環境構築は経営者の役割
  8. 地域に愛着を持つ人材の輩出
  9. 黒部川流域の唯一無二の存在
  10. インタビューを終えて

プロフィール

大高建設株式会社

富山県黒部市の総合建設業、大高建設株式会社様は、黒部川水系の電源開発、砂防、河川護岸、道路工事などに従事。70年を超える歴史を誇り「黒部川に大高あり」として存在感を示し、県下でも有数の企業として発展。近年は再生エネルギーの研究開発をはじめ、SDGsを経営の羅針盤に組み込む。また、ICT活用や健康経営を積極的に推進し、数々の認定や取得(*脚注)をしている注目の企業です。

大高建設株式会社

【本社】富山県黒部市宇奈月温泉633-1

https://o-taka.co.jp/ 公式X 公式Instagram

*2022年 長時間労働削減や年次有給休暇の取得促進を始めとする「働き方改革」に資する取組を積極的に実践している企業として「ベストプラクティス企業」に選定(富山労働局管轄)
*2022年 健康経営優良法人2022(ブライト500)に認定
*2022年 令和4年度 工事成績企業認定書、ICT活用工事成績優秀企業認定書、ICT人材育成推進企業認定書を取得(国土交通省北陸地方整備局)
*2021年 令和3年度 ICT活用工事成績優秀企業に認定(国土交通省北陸地方整備局)
*2019年 労働安全衛生マネジメントの取組を評価され、全国初の中小規模建設事業場向けニューコスモス「コンパクトコスモス」に認定(建設業労働災害防止協会)

代表取締役社長 大橋聡司 様、と総務部 DX・広報担当 山本健太郎様
(左)代表取締役社長 大橋聡司 様、(右)総務部 DX・広報担当 山本健太郎 様

創業時より黒部の電源開発

本日はよろしくお願いします。
はじめに会社の生い立ちと現在の事業について教えてください。

大橋私の祖父が創業者です。祖父は日本電力の技術者として黒部ダムの電機開発技師として携わっており、戦後1946(昭和21)年に大橋組として独立創業したのが始まりです。その後1954(昭和29)年、大高建設株式会社を設立しました。設立当初から、黒部奥山で様々な電源開発に携わってきまして、現在も黒部川流域をフィールドにしながら、砂防事業など様々な関連施設の補修等がメインの仕事になっています。

代表取締役社長 大橋聡司 様 砂防ダムの写真を追加(右)

なるほど、「黒部に大高あり」と言われる所以ですね。

暴れ川の引き起こす災害を防止

黒部の自然や険しさについて教えてください。

大橋黒部は自然豊かで四季折々の景色がとても美しいところです。新緑の季節、秋の紅葉、そして冬の時期は水墨画のような景色も見られます。しかしその一方で、黒部川は極めて特殊な川で、標高3000mの山から85kmという短い距離を一気に下る急流河川です。それがゆえに暴れ川ともいわれ、流域あたりの崩壊率が日本一で、土砂崩れも非常に多く起こっています。私どもは、そういう環境の中で発生する様々な災害を防ぐための工事も以前から携わってきました。

黒部川

雄大な自然の美しさの一方で、険しい水系。その対策にも一翼を担っているのですね。

徹底したリスクの事前察知

安全を最優先とお聞きしました。どのような取り組みですか?

大橋当社において安全は最も高い理念です。これだけ厳しい環境の中で仕事をしているので、一旦事故が起きると非常に大きな事故になります。救急車が来られる場所ではないので、助かる命も助からないということにもなりかねません。なので、まず事故を起こさないことを会社の一番大きな命題として取り組んでいます。会社として安全パトロールを中心に様々な安全対策をしていますが、私自身も現場に足を運び率先して注意喚起をしています。事故はヒューマンエラーで起きるものです。そのヒューマンエラーを起こさないように、様々なかたちで私の思いを伝えて危険感受性を高めてもらえるようにしています。 それが評価されて建設業労働災害防止協会が認定する「建設業労働安全衛生マネジメントシステム」、通称「コスモス(COHSMS)」の、中小規模建設事業者向けの「コンパクトコスモス」の全国第一号に認められました。これはリスクを事前に察知し、潜在的な危険性・有害性について組織的かつ体系的に除去・低減するための安全衛生のガイドラインにのっとった労働安全衛生管理システムを導入している企業が認定されるもので、これも私どもの安全に対する努力を評価されたからと自負しております。

すばらしい取り組みですね、安全が最優先というのは大事です。

難工事を可能にする特殊技術

特に難工事とされるのは、どのようなものでしょうか?

大橋まず現場に行くのにここから道路がありません。したがって様々な資機材を運ぶこと自体が難工事です。例えば砂防事業は大型重機を使って施工しますが、道路が無いため、この大型重機を30個以上の部品に分解して鉄道に載せて、現地で組立てています。また、トロッコ電車に載らないような長い物や体積があるものは、ヘリコプターで運ぶなど、特殊な黒部の奥山でしかやらないような工法で施工しています。例えば一般の方が利用する登山道がありますが、実は電力会社が発電所を作る代わりに、登山道を毎年整備し登山客に提供するという約束事になっています。登山道の下は断崖絶壁で落ちたら命を落とすような場所です。そのような場所を半世紀以上に渡って、一般の方が安全に通れるように、手すりを付けたり、足場を付けるたりする施工もしています。あとは、ダムの断崖絶壁の下に岩の塊が落ちてトロッコ電車の鉄路が破損するということがありました。夜間だったので大事には至りませんでしたが、いつまた落ちてくるか分からない状況のなかで復旧補強工事など、難工事を上げれば数え切れません。特殊技術を持っている当社だからこそ、安全に配慮しながら施工ができています。

難工事を可能にする特殊技術

ここでも、安全教育が活かされているのですね。

ICTを安全管理指導に活用

近年、安全を図るために、ICTを用いた技術開発(i-Construction)はどのようなものですか?

大橋新たな取り組みとして、ドローンや地上レーザースキャナー等のICT機器を導入することで、これまで1週間近くかけていた測量を半日に短縮。点群を用いた3次元測量と設計を自社で行うノウハウを蓄積しています。 こうした取り組みを国土交通省北陸地方整備局に評価いただき、「ICT活用工事成績優秀企業」に認定(令和元年、R2、R3、R4)され、また令和4年には、「ICT人材育成推進企業」にも認定されました。

ICTを用いた技術開発01

山本VR・メタバース導入のきっかけは、採用活動において当社をより深く理解してもらうため、複数の人間がアバターとなって砂防の現場を仮想体験できる「コミュニティプラットフォーム」を作ることからスタートしました。

大橋今後は採用活動に留まらず、奥山の離れた砂防現場や、ミャンマーなど海外の現場への安全管理指導に活用したいと考えています。

山本また、将来的な展望として、離れた場所から黒部奥山の重機を遠隔操作する「無人化施工」を、教育機関との連携を図り実現を目指しています。

ICTを用いた技術開発02

建設業もDXで進化しているのですね。

労働環境構築は経営者の役割

働き方改革や健康経営の推進とは、どのような内容でしょうか?

大橋企業は人なりだと思っています。女性だから建設業で働きにくい、家庭を持ったから色々業務に差し支えがあるなど、そのハードルを取り除くのは経営者の役割だと考えます。誰もが持っている能力をいかんなく発揮できるように会社の体制を整えていく。そのような取組みをした結果、2021年と2022年に「健康経営優良法人ブライト500」に認定されました。今年は富山労働局から「ベストプラクティス企業」の認定も受けました。男性、女性は当然ですが、日本国籍でも外国籍でも関係なく働ける環境づくりをしています。当社の場合、外国人の高度人材が多くいますので、彼らのハラルの問題などもきちんとクリアし働きやすい環境を整えています。そうすることで、元々持っている高いポテンシャルを発揮し、重要な人材になってくれています。

健康経営優良法人2022(ブライト500)に認定

活動を通して従業員のモチベーション上昇や生産性向上が図られているのですね。

地域に愛着を持つ人材の輩出

経営にSDGsを組み込むとありましたが、環境や社会貢献の取り組みについて教えてください。

大橋当社は2018年から準備をして2019年にいち早くSDGs宣言をして取り組んでいます。その中で、当社ならではのSDGsへの貢献が「安全」です。当社が持っている様々な安全の知見を2030年までに広く展開していくことを考えています。当然、当社と当社に関係する様々な協力会社等も含めて事故がないようにすること、またその積み重ねてきた知見を幅広く提供し、安全な施工に貢献していきたいと思います。 環境分野についての取組みでは、砂防の現場に日本で初めてEV(電気自動車)の導入もしています。さらにSDGsを地域の方々、特に若い世代にしっかり伝えることも大切だと考えています。この地域の環境を大切にすることが故郷に対しての愛着、誇りになり、県外に出ていっても故郷のことを考えて大事にしてもらえるようにするのが故郷教育だと考えます。大学をはじめ学校でも様々な講義をさせて頂いています。また小水力発電所を作って、その起こした電気で電気自動車やバスを走らせていますが、こういった取組みも子供たちへのふるさと教育の一環になればと思い行っています。

地域に愛着を持つ人材の輩出

地域貢献だけでなく、次世代を担う人材の発掘・育成にも力を入れているのですね。

黒部川流域の唯一無二の存在

最後に、これからの抱負についてお聞かせください。

大橋地域建設業として地域の安全安心を守っていく。特に黒部川流域において唯一無二の存在として、黒部川の防人(さきもり)としての使命をしっかり果たしていきたいと思います。またそれと同時に建設業におけるトップランナーとして、建設のDXやSDGs、ダイバーシティ&インクルージョンなど業界に先んじた様々な取組みをして、それらを情報発信していくことで、業界全体の発展に少しでも役に立てればと考えています。

ありがとうございました。

黒部川流域の唯一無二の存在

インタビューを終えて

豊かな自然に囲まれた黒部市。大高建設本社のある富山地方鉄道「宇奈月温泉」駅に降り立つと、雪を纏う標高3,000m級の立山連峰を正面に、眼下には豊富な水量の黒部川が流れています。観光地としても有名なこの地が、如何に険しい地形であるかは想像以上のものでした。

インタビュー中で、「安全は全てに優先する」という言葉に、思わず身が引き締まる思いをしました。 私たちの日常生活では、身の回りでさまざまな安全対策に支えられていますが、黒部奥地での災害や事故は人命に関わる特殊な環境です。片道1時間から2時間以上もかかる現場事務所には、同社の看護師が常駐しているというのも、とても印象的でした。

新たな技術開発への挑戦と、特殊作業に対する安全確保。正に黒部の自然を知り尽くした同社ならではの事業こそ「黒部川に大高あり」と呼ばれる所以と確信しました。

黒部川に大高あり

東京からJR黒部宇奈月温泉駅までは北陸新幹線1本で行くことができます。機会あれば、次回は黒部川観光でトロッコ列車に揺られ、温泉に浸かって、ゆっくり訪れたいと思いました。

●記載の法人・団体名・組織名・所属・肩書などは、全て取材時点のものです。

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