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企業の防災対策でやるべきこととは?具体的な手順や備蓄リストを分かりやすく解説

企業の防災対策でやるべきこととは?具体的な手順や備蓄リストを分かりやすく解説

自然災害はいつ、どこで発生するか予測が困難です。特に日本は、地震や台風、豪雨など様々な災害リスクに常に晒されています。企業にとって、防災対策は従業員の命と安全を守るための最重要課題であると同時に、事業を継続していくための基盤でもあります。本記事では、企業の防災担当者が「何をすべきか」を明確に理解し、具体的な行動に移せるよう、防災対策の全体像から具体的な手順、備蓄品リストまでを分かりやすく解説します。

目次

  1. 1 - なぜ今、企業に防災対策が求められるのか?
  2. 従業員の安全を守る「安全配慮義務」が存在する
  3. 事業を守る「事業継続計画(BCP)」との関係性
  4. 2 - 企業が取り組むべき防災対策の3つのフェーズ
  5. フェーズ1:災害発生前の「事前対策」
  6. フェーズ2:災害発生時の「応急対策」
  7. フェーズ3:災害発生後の「復旧・復興対策」
  8. 3 - 【フェーズ1】災害発生前に準備すべき7つのこと
  9. 準備1:自社拠点の災害リスクを把握する
  10. 準備2:防災マニュアルを策定する
  11. 準備3:安否確認の方法を確立する
  12. 準備4:最低3日分の備蓄品を準備する
  13. 準備5:オフィスの安全対策を実施する
  14. 準備6:データのバックアップ体制を構築する
  15. 準備7:定期的な防災訓練を実施する
  16. 4 - 【フェーズ2・3】災害発生時・発生後の対応フロー
  17. 災害対策本部の設置と情報収集
  18. 従業員の安否確認と指示
  19. 初期消火と避難誘導
  20. 事業の復旧対応
  21. 5 - 【備蓄品リスト】企業で最低限揃えるべきアイテム一覧
  22. 飲料水と非常食
  23. 衛生用品・救急用品
  24. 情報収集ツール・その他備品
  25. 6 - 防災対策に活用できる補助金・助成金制度
  26. 事業継続力強化計画認定制度
  27. IT導入補助金
  28. 7 - まとめ

1 - なぜ今、企業に防災対策が求められるのか?

近年、企業の防災対策への注目度はますます高まっています。それは単なる努力目標ではなく、法的な義務や事業継続の観点から、企業経営に不可欠な要素となっているからです。ここでは、企業に防災対策が求められる2つの重要な理由を解説します。

従業員の安全を守る「安全配慮義務」が存在する

企業は、労働契約法第5条に基づき、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」を負っています。 この義務は、日常業務における危険だけでなく、地震や津波といった自然災害からも従業員を守るための対策を講じることを含みます。 従業員の命と安全を守ることは、企業の最も基本的な社会的責任です。

義務の種類 根拠法 内容 違反した場合のリスク
安全配慮義務 労働契約法第5条 企業が従業員の生命や身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする義務。 損害賠償請求
帰宅困難者対策 東京都 帰宅困難者対策条例など 大規模災害時に従業員を一斉帰宅させず、施設内で安全を確保するための備蓄(3日分)等を行う努力義務。


事業を守る「事業継続計画(BCP)」との関係性

防災対策と密接に関わるのが、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。BCPとは、災害などの緊急事態が発生した際に、中核となる事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い時間で復旧させるための方針や手順を示した計画のことを指します。
防災対策が主に人命の安全確保や物的被害の軽減といった「守り」の側面を持つのに対し、BCPは事業の継続・早期復旧という「攻め」の側面も持ち合わせています。両者は車輪の両輪であり、効果的な防災対策なくして、実効性のあるBCPは成り立ちません。

2 - 企業が取り組むべき防災対策の3つのフェーズ

企業が取り組むべき防災対策の3つのフェーズ

企業の防災対策は、災害の発生時期に合わせて大きく3つのフェーズに分けて考えることで、抜け漏れなく計画的に進めることができます。それぞれのフェーズでやるべきことを正しく理解し、自社の対策に活かしましょう。

フェーズ1:災害発生前の「事前対策」

最も重要となるのが、この「事前対策」です。災害による被害を最小限に抑えるためには、平時の備えがすべてと言っても過言ではありません。防災マニュアルの作成、備蓄品の準備、オフィスの安全対策、防災訓練の実施など、災害が発生していない平時にこそ、時間をかけて入念に準備を進める必要があります。

フェーズ2:災害発生時の「応急対策」

災害が発生した直後から、被害の拡大を防ぎ、人命を最優先で守るための行動が求められます。冷静かつ迅速に行動するためには、事前対策フェーズでの訓練が不可欠です。従業員の安否確認、初期消火、避難誘導、負傷者の救護などが主な活動です。パニック状態に陥りがちな状況下で、冷静に対処するために、日ごろから応急対策の理解を深めておきましょう。

フェーズ3:災害発生後の「復旧・復興対策」

応急対策が一段落し、安全が確保された後に行うのが「復旧・復興対策」です。被災状況の把握、ライフラインの復旧、事業所の片付け、そして事業の再開に向けた具体的な行動計画の実行などが含まれます。このフェーズをスムーズに進めるためには、BCPの策定が重要な鍵となります。

3 - 【フェーズ1】災害発生前に準備すべき7つのこと

【フェーズ1】災害発生前に準備すべき7つのこと

ここでは、防災対策の要となる「事前対策」について、具体的に取り組むべき7つの項目を解説します。

準備1:自社拠点の災害リスクを把握する

まずは、自社のオフィスや工場がどのような災害リスクに晒されているかを知ることから始めます。国や自治体が公表しているハザードマップを活用し、地震による揺れやすさ、津波や洪水による浸水の可能性、土砂災害の危険性などを確認しましょう。 複数の拠点がある場合は、それぞれのリスクを評価しておきましょう。

確認すべき情報 主な入手先
地震ハザードマップ 国土地理院「重ねるハザードマップ」
各自治体ウェブサイト
洪水・津波ハザードマップ 各自治体ウェブサイト
土砂災害警戒区域 各都道府県ウェブサイト

準備2:防災マニュアルを策定する

災害発生時に「誰が」「何を」「どのように」行動するかを定めた防災マニュアルを作成します。マニュアルには、災害対策本部の設置と役割分担、情報収集・伝達の方法、安否確認の手順、避難経路、応急手当の方法などを具体的に記載します。全従業員が内容を理解し、いつでも確認できるよう、分かりやすい言葉で作成し、社内で共有・周知を徹底することが大切です。

準備3:安否確認の方法を確立する

災害発生時、従業員の安全を迅速に確認することは、事業復旧の第一歩です。電話やメールの通信量や利用者が集中し、繋がりにくくなるため、安否確認システムやビジネスチャットツールなど、複数の連絡手段を準備しておきましょう。「震度6以上の地震が発生した場合」など、安否確認を発動する基準をあらかじめ決めておくと、いざという時にスムーズに行動できます。

準備4:最低3日分の備蓄品を準備する

大規模災害が発生すると、ライフラインが寸断され、交通機関も麻痺する可能性があります。従業員が社内で数日間待機せざるを得ない状況を想定し、最低でも3日分の水、食料、簡易トイレなどの備蓄品を準備しましょう。特に東京都では「帰宅困難者対策条例」により、3日分の備蓄が努力義務とされています。

準備5:オフィスの安全対策を実施する

地震の揺れによるオフィス家具の転倒や、窓ガラスの飛散は、従業員の負傷に直結します。キャビネットや棚などの重量物は壁に固定し、ガラスには飛散防止フィルムを貼るなどの対策を行いましょう。また、コピー機などの重いOA機器は、床に固定するか、移動防止用のストッパーを設置することが推奨されます。避難経路の妨げにならないよう、廊下や出入り口付近には物を置かないことも徹底してください。

準備6:データのバックアップ体制を構築する

事業継続の観点から、重要なデータのバックアップは必須です。社内のサーバーだけでなく、クラウドサービスや遠隔地のデータセンターなどを活用し、データを分散して保管する体制を構築しましょう。これにより、本社が被災した場合でもデータの消失を防ぎ、事業の早期復旧に繋げることができます。

準備7:定期的な防災訓練を実施する

作成した防災マニュアルが実際に機能するかどうかを確認し、従業員の防災意識を高めるために、定期的な防災訓練の実施がおすすめです。安否確認訓練、避難訓練、初期消火訓練、救護訓練など、様々なシナリオを想定して実施しましょう。訓練を通じて課題を洗い出し、マニュアルや対策を継続的に見直していくことが、防災力を高める上で重要です。

4 - 【フェーズ2・3】災害発生時・発生後の対応フロー

【フェーズ2・3】災害発生時・発生後の対応フロー

事前対策を万全にしていても、いざ災害が発生すると混乱は避けられません。ここでは、発生から復旧までの基本的な対応フローを解説します。防災マニュアルに沿って、冷静に行動することが重要です。

災害対策本部の設置と情報収集

まず、あらかじめ決めておいた責任者を中心に災害対策本部を設置します。テレビ、ラジオ、インターネットなどを活用し、地震の規模、津波の有無、地域の被害状況など、正確な情報を収集・集約し、社内での情報共有を行います。

従業員の安否確認と指示

事前に定めた方法で、全従業員の安否確認を開始します。従業員からの安否報告を集計し、状況に応じて自宅待機や出社の可否などを指示します。負傷者がいる場合は、救護活動を最優先で行います。

初期消火と避難誘導

火災が発生した場合は、消防への通報と並行して、消火器などによる初期消火活動を行います。建物の倒壊や火災の延焼などの危険が迫っている場合は、あらかじめ定めた避難経路に従い、従業員を安全な場所へ誘導します。

事業の復旧対応

従業員の安全が確保された後、BCPに基づき事業の復旧作業を開始します。建物の損傷状況、設備の被害、サプライチェーンへの影響などを調査し、優先順位をつけて復旧計画を実行します。取引先への連絡や、従業員のケアも重要な対応となります。

5 - 【備蓄品リスト】企業で最低限揃えるべきアイテム一覧

備蓄品は「量」と「種類」の両面から準備することが大切です。ここでは、企業の取り組み事例を参考に、企業が最低限備えるべきアイテムをリストアップしました。従業員数に応じて、必要な量を確保してください。

飲料水と非常食

生命維持に不可欠な水と食料は最優先で準備します。長期保存が可能で、調理の手間がかからないものを選びましょう。

品目 備蓄量の目安(1人あたり) ポイント
飲料水 3リットル/日 × 3日分 = 9リットル 5年以上保存可能な長期保存水が望ましい。
非常食 3食/日 × 3日分 = 9食 アルファ化米、缶詰、乾パン、栄養補助食品など、調理不要で食べられるものが便利。
アレルギーにも配慮する。

衛生用品・救急用品

感染症の予防や負傷者の手当てに必要なアイテムです。特に簡易トイレは、断水時に必須となります。

品目 備蓄量の目安(1人あたり) ポイント
簡易トイレ 5回/日 × 3日分 = 15回 消臭・凝固剤がセットになったものが衛生的。
マスク・消毒液 適量 感染症対策として多めに準備する。
救急セット 1事業所に1セット以上 絆創膏、包帯、消毒薬、常備薬など。
ウェットティッシュ 適量 水が使えない状況で重宝する。
生理用品 女性従業員数に応じて 女性従業員の声を聞き、必要な種類と量を確保する。

情報収集ツール・その他備品

停電時にも情報を得られるように、電池や手回し充電式のラジオなどを準備します。

品目 備蓄量の目安 ポイント
ラジオ 1事業所に複数台 手回し充電式や乾電池式を用意。
予備電池も忘れずに。
懐中電灯・ヘッドライト 従業員数分あると望ましい 停電時の移動や作業に必須。
両手が使えるヘッドライトが便利。
毛布・ブランケット 従業員数分 寒さ対策。
アルミ製のレスキューシートは軽量で場所を取らない。
軍手・革手袋 従業員数分 瓦礫の撤去やガラスの片付けなど、手の保護に必要。
ヘルメット・防災頭巾 従業員数分 落下物から頭部を保護するために必須。

6 - 防災対策に活用できる補助金・助成金制度

企業の防災対策や事業継続力強化の取り組みを支援するため、国や自治体は様々な補助金・助成金制度を用意しています。これらの制度をうまく活用することで、コストを抑えながら対策を進めることが可能です。

事業継続力強化計画認定制度

中小企業が策定した防災・減災対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度です。認定を受けることで、税制優遇や日本政策金融公庫による低利融資、補助金の加点措置といった金融支援など、様々なメリットを受けることができます。

IT導入補助金

中小企業がITツールを導入する際に、経費の一部を補助する制度です。安否確認システムや情報共有ツールなど、防災対策・BCP強化に繋がるツールの導入も補助の対象となる場合があります。

7 - まとめ

企業の防災対策は、従業員の安全確保と事業継続のために不可欠な取り組みです。災害は突然やってきますが、平時からの周到な準備があれば、被害を最小限に抑えることが可能です。本記事で紹介した内容を参考に、自社の状況に合わせた防災対策を着実に進め、災害に強い企業体制を構築してください。


編集:株式会社JVCケンウッド・公共産業システム マーケティング担当(2025年12月)

※本資料は、公開掲載時点での情報であり、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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<参考資料・出典>
労働契約法 | e-Gov 法令検索
災害が起きる前に(会社・職場編)|東京都防災ホームページ
ハザードマップポータルサイト
備蓄|東京都防災ホームページ
事業継続力強化計画 | 中小企業庁
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