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難聴者も働きやすい職場を実現するための取り組み
~企業における音声認識ユースケース~

企業における音声認識ユースケース

企業経営においてダイバーシティ&インクルージョン、多様性の尊重はSDGsの観点からも重要になります。
その一環として、企業の障がい者雇用についても求められるようになってきています。
障がい者を雇用する上では、ユニバーサルデザイン、バリアフリー化の取り組みなど、配慮が必要になります。
当社が提案する音声認識表示ソフトウェア「TZ-TRACER」は、音声認識技術を利用して発言内容をリアルタイムに文字情報として表示することができる製品です。聴覚に障がいのある方に対する情報提供手段として、議会などでの導入も進んできています。
本記事では、企業における聴覚バリアフリー、情報保障の取り組みとして、当社での「TZ-TRACER」のユースケースを紹介します。
※本事例は当社におけるソフトウェア開発検証の一環として実施しています。

目次

  1. プロフィール
  2. 1 - 聴覚障がい者の職場内コミュニケーション
  3. 2 - 会議における「音声認識表示ソフトウェア」の活用
  4. 会議の準備はとても簡単
  5. リアルタイムに発言内容を把握
  6. 理解を助けるフリガナと字幕表示
  7. 3 - 日常シーンでの使用に期待
  8. 4 - 聴覚障がい者のバリアフリーをサポート

プロフィール

今回訪問した部署は、当社のアフターサービス部門としてお客様から送付された製品の修理を行っており、自社商品だけでなく当社が販売した他社製品についても修理対応をしています。
現在20名ほどのメンバーで業務を行っており、聴覚に障がいのある社員が1名勤務しています。

1 - 聴覚障がい者の職場内コミュニケーション

聴覚障がい者の職場内

職場では各自のデスクで修理作業を行うため、頻繁にコミュニケーションをとり合う必要性はありません。しかし業務上の伝達や確認など、必要最低限のコミュニケーションは求められます。
以前は話をしている口の動きで、簡単な内容であれば、ある程度話していることを理解することができました。しかし、コロナ禍となりマスクが必須となったため、口元を見ることができなくなってしまいました。そこで、現在は、メモ帳やメモパッドを用いた「筆談」をメインとして行っています。
筆談のメリットとしては、その場で確実に自分の伝えたい内容を目に見える形で提示できることです。
デメリットとしては、文章を書くのにそれなりに時間がかかること。相手が読みやすい字を丁寧に書かないと伝わらないこともあります。
この部署では定期的に全体会議を開催し、その場に障がい者の社員も参加しています。日常のコミュニケーションは筆談でしたが、全体会議ではプロジェクターで議事録を表示し、その場で要点を入力することで内容を伝えるようにしていました。
しかし、そのような方法では会議の進行状況や話の流れが把握しづらく、会議の内容を理解できない部分はあったといいます。この課題を改善したいと考え、全体会議で音声認識表示ソフトウェアの使用を開始しました。

2 - 会議における「音声認識表示ソフトウェア」 の活用

「TZ-TRACER」を使用している会議 「TZ-TRACER」を使用している会議

今回実際に「TZ-TRACER」を使用している会議に参加しました。

会議の準備はとても簡単

会議室はスクール形式で、発表者席に「TZ-TRACER」をインストールしたPCと、議題などを表示するためのPCを用意し、前方のスクリーンに議題と文字起こし画面を表示。またPCには高性能の集音マイクロホンを接続し、発表者の声を拾うようにセッティングしていました。
セッティングは複雑な配線も必要無く、会議前の準備に手間はかかりません。


リアルタイムに発言内容を把握

リアルタイムに発言内容を把握

会議中は、発表者の発言がリアルタイムで文字に変換されて表示。
発表者の発言がリアルタイムで表示されるようになったことで、障がい者の社員も会議の内容が分かるようになったといいます。
また、今までは文字表示されるPCを障がい者の社員の前に置いていて、目線を動かさないと会議資料と文字を確認できずに追いつけないことがありましたが、今回はプロジェクターで一緒に映すようにしたことで、会議資料と文字起こしの文字が同時に見られるようになりました。
文字起こしの精度に関しては、ゆっくりはっきりと話すと正しく変換されやすいようですが、早口で話す、または専門用語などは誤変換される場合もあるようです。プロジェクターで文字起こし画面を表示することで、発表者も音声認識された内容を確認しながら話すことができ、言い直しなども可能になります。


理解を助けるフリガナと字幕表示

理解を助けるフリガナと字幕表示

会議中の文字起こしは誤変換される場合もありますが、漢字にはフリガナがふられるため、漢字の変換がおかしいと気付いた時にはフリガナを見て確認することもあるようです。
文字起こし画面については、現在1台のPCの全画面表示となっていますが、スイッチャーを使用して、表示した資料の下に映画の字幕のように文字を表示することで、会議の内容がより理解しやすくなるという期待もあります。
また、今回文字起こし画面をオンライン会議で共有することにより、障がい者の方が遠隔地にいる場合でも対応できるというのはメリットとして大きいのではないかという声もありました。

3 - 日常シーンでの使用に期待

会議終了後、参加メンバーに話を聞きました。
「当部署では1名の聴覚障がい者との会議において『TZ-TRACER』を使用しています。今後雇用が進み聴覚障がい者の人数が増えても、プロジェクターを通じて画面に投影すれば、複数名でも文字起こし画面を見ることが出来るため、今後の雇用促進のハードルも下げることが期待できます。」
「また、人名については一般的な用語ではないため、どうしても誤変換の率が高くなりがちです。これについては、特定の用語に関しては事前に登録しておくことも可能なので、今後は部署に携わっている人の人名の登録を試し、正しい予測変換をされるようにしていきたいです。」
「表示された文字起こしのデータはテキストデータで保存されるので、簡易的な議事録として利用しています。誰が話したかということまでは文字に起されませんが、wavファイルで音声も保存されており、必要であれば誰が話したかを確認できるので便利です。」
「今後期待することとしては、ソフトウェアの多様なOSへの対応があげられます。現在はWindows PCのみ使用可能ですが、他のOSにも対応することによりタブレット端末などで持ち運べるようになれば、通常業務での連絡事項などにも使えるようになります。また、業務だけでなく日常のさまざまなシーンで、とても便利に使えると期待しています。」

4 - 聴覚障がい者のバリアフリーをサポート

聴覚障がい者のバリアフリーをサポート
*都合上、画像は推奨する機器とは異なるマイクとなります。認識率を高めるため、会議中はマイクを発表者に向けて使用しています。

今回は、企業における聴覚障がいに対するハード面での対策として、音声認識表示ソフトウェアを使用した情報保障についてユースケースを紹介しました。
障害者雇用促進法の定める法定雇用率が段階的に引き上げられるほか、雇用後の職場定着においても政府から企業への助成など、全国的に取り組みが推進されている昨今では、障がい者雇用への対応が求められます。
企業におけるダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みとして、バリアフリーに対応した就労環境の整備、職務設計は、企業価値を高め、優秀な人材を確保するためにも、今後当たり前のものとして進められることになります。
当社では、本記事で紹介したような製品の提供を通じて、働きやすい職場づくりや暮らしやすい社会づくりに貢献していきたいと考えます。

●Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。 ●その他の商標および名称はそれぞれの所有者に帰属します。


編集:株式会社JVCケンウッド・公共産業システム マーケティング担当(2023年3月24日)

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