機器更新、デジタル化で音質・音響を格段に改善。
タブレットは電子採決のほかに資料閲覧などにも機能を発揮。
15年前の庁舎建設から使用してきた議場のマイクやカメラなどのAV 設備改修を依頼頂くと同時に、タブレット端末による議案の賛否意思表示システムを導入していただきました。
導入の背景、効果などについて、霧島市議会事務局様にお話を伺いました。
導入の背景
まずは、設備の老朽化と、補修部品の製造中止などで修理・保守が難しくなっていて、更新は急務でした。また、議場内スピーカーによる発言者の声を傍聴席が聞きづらいといった課題もありました。
導入のポイント
設備更新にあたっては、検討委員会を設置して他自治体への視察や業者によるデモを重ね、検討してきました。新しいシステム選定では、議員各々が手元で賛否意思表示できるシステムであることなどを要件にプロポーザルを行いました。
複数社に応募いただき、各社の計画書を検討させていただきました。その中で、会議録研究所さんのコングレスステーションをベースにしたJVCケンウッド・公共産業システム【当時はJ&Kビジネスソリューション、以下(JKPI)】さんの計画だけは、タブレットを賛否意思表示と資料閲覧に活用したシステムを提案いただいており、大変興味深いものでした。また、議場音響の課題に対しても、スピーカーシステムに関する技術でハウリングなく傍聴席まで非常に聞きやすいものになることがデモで確認できたことも高評価でした。
最終的には、費用面、安定性など総合点数による判定で(JKPI)さんに更新を依頼することになりました。
導入の効果
課題であった議場内の音響は「パイプラインスピーカー」で完全に改善され、十分満足できる状態に仕上がっています。さらに、従来の会議録音は、音声認識に苦慮するところもありましたが、更新後は小さな声もクリアに拾ってくれます。デジタルボイスコントローラーをはじめ、デジタル化の効果だと思います。音声が鮮明になったことで、音声自動翻訳システムを利用し、迅速に会議録作成を行うことができるようになりました。
次に、議案の採決がスムーズになりました。採決は従来、起立した議員数を目視して行っており、確認に時間がかかることもありました。タブレットのタッチによる採決では、結果が即座にデジタルで表示されます。可視化が進みより透明性の高い議事運営ができるようになったともいえます。とはいえ、タブレットでの投票操作に慣れていない等のトラブルもないわけではなく、採決はやはり毎回緊張しますし気が抜けません。
一方で、タブレット操作を議員さん同士でレクチャーしあうなど、議員間のコミュニケーションには一躍買っているようです。もちろん、資料をタブレットに提示することで、グラフや表の数字など必要な範囲を自身で拡大して視ることもできるため、活用の幅は広がっています。
最後に、事務局として議会運営の省力化も実現しました。従来、事務局スタッフ4 名が、カメラ、テロップ、録音にあたっていましたが、現システムでは2 名で運営できています。議会が議員定数を減らしている中で、こういったところの省力化も欠かせないところです。
今後の取組
今更新により資料の電子化が始まりました。今後は、提案者側、質問者側ともにディスプレイとタブレットで視覚的にもわかりやすく伝える資料の作成が進むと思っています。また、今回のタブレット導入は議場のみでしたが、委員会室でのタブレット利用や、議会のペーパーレス化についても検討をしていく予定です。
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霧島市
人口約13万人、2005年11月に国分市、溝辺町、横川町、牧園町、霧島町、隼人町、福山町が合併して誕生。
市政の基本理念:世界にひらく、人と自然・歴史・文化がふれあう都市。
HPアドレス:https://www.city-kirishima.jp/
霧島市議会
議員定数26、任期4年、議長:池田 守議員、副議長:中村 正人議員(2015.12.2 現在)
2013年11月に改選があり、議員数が33から26になる。
議会活動の中心となる議事堂は、国分シビックセンター議会棟にあり、1997 年に旧国分市によって建設されたもの。
議事堂には、議場をはじめ、議長室、委員会室、全員協議会室、議員控室、議会事務局などがある。
所在地:鹿児島県霧島市国分中央三丁目45-1
取材日:2014年1月20日(月)
ご対応:霧島市議会事務局
局長 濱﨑 正治 様
議事調査課 議事グループ長 宮永 幸一 様
議事調査課 調査グループ書記 甲斐 平 様