優れた音響特性を誇る福岡シンフォニーホールが、音響設備を大規模改修。
最新の音響システムにより、
音楽から講演まで多用途での明瞭度と運営効率を向上。
シューボックス型の本格的音楽ホールとして知られる福岡シンフォニーホールは、1,800席以上の客席を備え、世界的なオーケストラから室内楽、講演会やアマチュア発表会まで、多彩な用途に対応しています。今回、長期休館を機に、音響設備を全面的に更新。可動型ステージにも対応した明瞭な音場を実現するとともに、操作性・拡張性に優れた設計により、将来的なシステム連携にも柔軟に対応できる音響環境が整いました。
導入の背景
開館から約30年を迎える福岡シンフォニーホールでは、長年にわたり使用されてきた音響機器の老朽化が進んでいました。しかし、年間を通じて多くの公演が開催される中、ホールの稼働を止めることは難しく、音響設備の全面的な改修ができない状況が続いていました。そうした中、天井の耐震補強工事による長期休館が決定。この機会を活かし、音響設備に加えて舞台照明も含めた包括的なリニューアル計画が始動しました。本ホールは、音の響きを重視するクラシック音楽や楽器を使用する公演などでは優れた音響特性を有している一方、マイクを使用する講演会などでは残響により音声の明瞭度に課題があったため、より多様な利用シーンに対応できる音響システムの導入が求められていました。
導入のポイント
- 音響設計により設置場所に最適なスピーカーを選定。
- 高性能スピーカーでクラシック演奏の音質を最大限に引き出し、繊細な表現にも対応。
- 可動式グランドスタックスピーカーによりシューボックス時の演奏会にも柔軟に対応。多用途において音響の明瞭化を実現。
- マルチプロセッサーによる最適なシステムチューニング、また高性能な調整卓での細やかな音質調整が可能。
- パターン選択など多目的用途に対応するシステム構成で、音響反射板可動によるプロセニアム形式への変更時も音響の最適化を維持。


お客様の声
以前は講演会後に“話が聞き取りづらかった”という声をたびたびいただいていましたが、導入後はそうした意見がなくなり、明瞭性の改善を実感しています。また、今回の設備更新では、クラシック音楽の美しい響きを保ちながら、講演会などでも聞き取りやすい音響設計がなされており、非常に満足しています。
オーケストラ、室内楽、プロセニアムといった形式変更に伴うスピーカーの運用変更もスムーズに行える点や、ネットワーク対応によるシステム連携、デジタル調整卓の操作性の高さなど、現場の運用効率も大幅に向上しました。
(公益財団法人アクロス福岡 管理業務・音響担当 木崎 岳志 氏)
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公益財団法人アクロス福岡
福岡シンフォニーホール
九州交響楽団の本拠地として1995年に開館した本格的コンサートホール。クラシックを中心とした演奏会のほか幅広い用途で活用されています。福岡県は九州の経済・文化の中心地として発展を続けており、本ホールはその文
化発信の中核拠点として、地域の文化芸術の振興に貢献し、市民や訪れる人々が交流できる場を提供することで、福岡の魅力を国内外に発信し、次世代の文化創造と地域活性化に寄与しています。
HPアドレス:https://www.acros.or.jp
所在地:福岡県福岡市中央区天神1丁目1番1号
2025年6月取材
※記載の法人・団体名・組織名・所属・肩書きなどは、すべて取材時点でのものです。